我々は希少疾患などに対する治療薬開発を目指して、Staple核酸を用いた新しい技術(RNA hacking)を開発しました。RNA hacking は、mRNAの“形”をStaple核酸により意図的に変えて、タンパク質が作られにくい状態にするアプローチです。私たちは先行研究でStaple核酸の導入により標的遺伝子の発現を抑制し、心臓肥大モデルマウスで薬効を発揮することを確認しました。しかし、Staple核酸が適用できるヒトmRNAの数は約65%であり、グアニンの連続配列が足りないために標的にできない遺伝子もあります。そこで、今回我々はGs-Staple核酸(G-tract-supply Staple核酸)という改良版のStaple核酸を考案し、Staple核酸からグアニンの連続配列を補うことで、標的のmRNAとG4(Complemented binary G4)を作り翻訳反応を阻害します。実際に我々は培養細胞やマウス体内でも、Gs-Staple核酸の導入により標的タンパク質の発現量低下を確認しました。またGs-Staple核酸の内にあるリンカーの長さを変えることで翻訳抑制量を制御できることも見出しました。今後は本技術を利用し、臨床応用および医薬品化を目指します。
Angewandte Chemie International Edition
Expanded Gene Targeting in RNA Hacking with G-Tract-Supply Staple Oligomer
Tomoki Kida, Yua Hasegawa, Miko Kato, Mahiro Ohtani, Ayu Matsumoto, Ririka Taniguchi, Rinka Ohno, Hiroshi Sugiyama, Toshihiro Ihara, Masaki Hagihara, Shin-ichi Sato, Yousuke Katsuda